著作権の相続について

相続に関する相談をするとき、相続財産の確認をさせて頂きます。
漏れなく相続財産を確認することで、遺産分割を円滑して争いを防いだり、相続税申告を円滑にすませたり、第三者との権利関係を明確にすることが出来ます。
この相続財産には、不動産や金融資産が含まれることは勿論、著作権等の知的財産権も含まれます。

今回は、「著作権」について少しお話をしてみましょう。
例えば、著名な音楽家や漫画家などの作家を亡くなった場合、その作品の著作権は原則として相続人に継承されると考えられます。
著作権は、「著作者人格権」と「著作財産権」と二種類に分けて考えられています。
著作者人格権は「人格権」あるがゆえに、基本的に一身専属権なので相続や譲渡が出来ません。
著作財産権とは、著作者が創った著作物が、著作者の経済的利益を保護するために、他人に勝手に利用されることを禁止できる権利を言います。
著作財産権を行使することで、許可を得ずに利用され、利益を奪われる事態を防止できます。
著作権は「原則」として「著作者の死後70年後に消滅する」ので、相続人が相続する権利は、「有効期限付き」の著作権と考えられます。

ただし、著作財産権は生前に譲渡が可能です。
生前に譲渡された著作権は、相続開始時すなわち著作者が死亡した時に、著作権を有していないことになります。
要は、生前に譲渡された著作権は、相続財産に含まれなくなってしまうのです。
これまで著作財産権が問題となったニュースが数知れず有ります。

例えば、2000年代初頭にデジタルサウンドで一世を風靡した音楽プロデューサーが約800もの自身の楽曲の著作権を10億円で譲渡しようとした事件が発生し、世間を驚かせました。
著作権自体は、著作者の経済的利益だけではなく、創作者の人格権にも大きな配慮をした重大な権利です。
世界中の子供から大人まで、多くの方々に大きな影響を及ぼし得る夢の有る権利です。
みんなの夢を壊さないように使って欲しいですね。

著作者の権利が消滅した後の話は、今度お話ししますね。

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行政書士 鈴木 克尚

行政書士法人F&PartersEAST 行政書士(出入国関係申請取次業務特定社員)、東京都行政書士会登録、登録番号:第11082416号

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。