新たな国家資格、注目の「賃貸不動産経営管理士」
いきなりですが、賃貸不動産経営管理士という国家資格をご存じでしょうか。
令和3年4月21日をもって、国家資格となった産まれたばかりの資格です。
令和3年6月から、管理戸数200戸以上の賃貸住宅の管理業務を行う事業者は、国土交通大臣への登録が必要となりました。登録には、事務所ごとに1名以上の賃貸不動産経営管理士の設置が義務付けられたのです。
なぜ、賃貸不動産経営管理士が国家資格となり、一定の賃貸住宅管理業者は登録が義務化されたのでしょうか。
それは、賃貸不動産が年々増加しているにもかかわらず、賃貸不動産の管理のための法整備が不十分で不動産管理の重要性が一層高まってきたことに因ります。
不動産の売買については宅建業法で規制が行われますが、賃貸物件の管理については曖昧な部分が有り現場では困惑すること多かったようです。
具体的には、サブリースをめぐるトラブルが社会問題化したり、適正な管理がなされていないことによるクレームが複雑化したという要請から法制度が進んだのです。
そこで、2020年6月に賃貸住宅管理に関する新しい法律(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が成立し、管理業者の登録を義務付けることによって「賃貸住宅管理業務の適正化」が図られることになったのです。
それが新たな、「賃貸住宅管理業者登録制度」なのです。
更には、賃貸住宅管理業者登録制度のなかで活躍する「賃貸不動産経営管理士」を国家資格化することで、「業務の適正化」を図ろうしているのです。
本年6月の開始の賃貸住宅管理業者登録制度ですが、開始から3カ月が経過した9月の段階で1500件を超える勢いで登録が進んでいます。
他方で、この賃貸住宅管理業者登録制度ですが、罰則が厳しくなっています。
例えば、登録義務が有る管理戸数が200戸以上ある業者が、「国土交通大臣の登録を受けず、賃貸住宅管理業を営んだとき」は、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又は併科」という厳しいものになっています。
ただし、登録制度開始前から賃貸管理業を営む業者は、令和4年6月までは「みなし業者」となり未登録でも営業は可能ですが、令和4年6月までに登録が必要です。
罰則の対象者に目を向けると、行為者だけではなく法人などの事業者も併科されるので、厳しい扱いになっています。
最後に、令和4年6月までに登録が必要だとすると、一番遅くていつから登録に着手する必要が有るか考えてみましょう。
申請から登録までの標準処理期間は90日とされています。また、申請までの準備期間は区々ですが、1カ月程度が目安としておくと良いでしょう。
事前準備から登録完了まで、約120日は必要だと分かります。
そうすると、令和4年2月には、必ず事前準備を開始する必要が有ります。
ここで、「来年の2月から準備をしよう」なんて思わないでください。
実際に登録手続きを代理した行政書士として感じたことは、手引きの入手方法、制度の理解や手続きの煩雑さが気になりました。
賃貸住宅管理業者の登録をしようという業者様においては、既に登録を経験した行政書士に相談することをお勧めします。
行政書士 鈴木 克尚
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