非上場会社における株主総会の議決権行使方法

 会場を設けて、所定の日時に決議を行う、いわゆる「リアル開催」と、会場を設けず書面のやり取りにとどまる「書面決議」とがあります。

1.リアル開催

 リアル開催における議決権の行使では、以下の方法があげられます。

①株主:会社指定の会場に来場し、議決権を行使する方法

②委任状:会社指定の会場に来場する者に委任状を交付して、その者が代理人として議決権を行使する方法

③議決権行使書面:株主本人が会社所定の日時までに議決権行使書面を会社に提出する方法

 役員変更等の議案では、株主総会に最低限出席しなければならない定足数が定められています。この定足数を満たすために、委任状にくわえて、議決権行使書面が用いられることがあります。

委任状と議決権行使書面の比較について一覧表にすると以下のとおりです。

【図表:委任状と議決権行使書面の比較】

 委任状議決権行使書面
議決権行使者代理人が議決権を行使株主本人が議決権を行使
記載事項委任者が受任者に対して特定の株主総会における議決権の行使を委任する旨①各議案についての賛否欄 ②議決権の行使期限 ③株主氏名、その有する議決権数
導入方法法令上当然に認められているため、株主総会の招集決定の際に別途委任状を用いることができる旨を決定することは不要(会社法310条・298条1項3号)株主総会招集決定の際に、株主総会に出席しない株主が議決権行使書面によって議決権行使ができることとするときはその旨も定めることが必要(会社法298条1項3号)
発送時期株主総会の日の1週間前(中7日)までに、招集通知を発しなければならない(会社法299条)。株主総会の日の2週間前(中14日)までに、招集通知を発しなければならない(会社法299条)。
期間短縮株主全員の同意があれば可株主全員の同意があっても不可
参考書類非上場会社の場合、株主総会参考書類は不要株主総会参考書類が必要(会社法301条、会社法施行規則73条等)
提出株主または代理人は委任状を株式会社に提出しなければならない(会社法310条)。株主総会の決議までであれば可株主は議決権行使書面に必要な事項を記載し、原則として株主総会の日時の直前の営業時間の終了時までに提出して議決権行使する(会社法311条、会社法施行規則69条)。別途特定の時を定めることは可

 

 ここで注意したいのが、議決権行使書面を採用する際の招集通知の発送日です。議決権行使書面の提出期限を株主総会の前日等に設定することが一般的ですが、株主総会の決議日から2週間前ではなく、議決権行使書面の期限から2週間前に設定する必要があります。

 以下のカレンダーをもとにすると、6月27日(金)に株主総会の決議を行う場合で、議決権行使書面を株主総会の前日の営業終了時に設定するときは、株主総会の2週間前の6月12日(木)ではなく、議決権行使書面の提出期限である6月26日(木)の2週間前の6月11日(水)までに招集通知を発しなければなりません。

【図表:議決権行使書面の期限と株主総会の決議日】

◆6月カレンダー

1011
招集通知
発送日
121314
15161718192021
2223242526
議決権行使
書面〆切
27
株主総会
28
2930    

2.書面決議

 書面決議は、取締役または株主が提案した事項につき、すべての株主が同意をした場合に、株主総会の決議があったものとみなされるというものです(会社法319条)。

 書面決議を採用する点について同意するのではなく、提案事項の内容に同意するということが求められます。1名でも提案事項に同意しない株主がいる場合には決議が成立したものとみなされないため、株主数が多い会社には不向きといえます。一方、比較的少数の株主で、事前に調整を図ることができる場合には、書面決議が向いているといえます。

 招集通知は不要であり、また提案、同意はメール等でも差し支えないため、究極的には当日に提案し、当日中に株主全員から同意が得ることができれば、即日株主総会の決議があったものとみなされます。

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。