電子契約書導入のススメ

電子契約書では、紙媒体の契約書と異なり、収入印紙の貼付、郵送、スキャンが不要である等、さまざまな利点があります。

電子契約書といっても、そのサービスを提供する事業会社によって特色があり、コスト面や運用面等の違いがみられ、その選択は重要といえます。

そこで今回は、商業登記の場面でも法務省から使用が認められている、いわゆるクラウド型の電子証明書である、「クラウドサイン」と「Great Sign」について比較してみていきます。

費用面について

千円単位、月額費用例:月次20契約、メール通知30回、既存契約300件アップロード、社内ワークフローを使用した場合で試算しました。

サービス名
(会社名)
クラウドサイン
(弁護士ドットコム株式会社)
Great Sign
(株式会社TREASURY)
費用例26/月11/月
費用10/月
0.2/回
メール毎
7.8/月
0.15/回
契約毎
既存契約
の管理
〇 10/月 1000件毎
導入対応700/回無料
導入実績ぐるなび
タマホーム
RIZAP
freee他多数
中小企業福祉事業団
TEPCOライフサービス
CISO
(勘定奉行と連携し拡大予定)
グループ会社個別契約必要ドメイン毎に必要
グループ割引可能
書類の取り込み機能別途料金発生無料
承認機能100/月のプランのみ利用できる無料

基本仕様について

次に少し技術的なことも含めて基本仕様について比較します。

サービス名
(会社名)
クラウドサイン
(弁護士ドットコム株式会社)
Great Sign
(株式会社TREASURY)
電子署名方式立会型立会型
証明期間10年間
(以降は検討中)
10年間
自動更新
電子署名の仕組み電子署名(アドビアプローブドトラストリストAATL)
タイムスタンプ(セイコータイムスタンプ社)
電子署名(TREASURY:アドビアプローブドトラストリストAATL)
タイムスタンプ(セイコータイムスタンプ社)

使い勝手について

定性的な評価にならざるえませんが、使い勝手についても比較してみました。

サービス名
(会社名)
クラウドサイン
(弁護士ドットコム株式会社)
Great Sign
(株式会社TREASURY)
利用方法メールChatWork
メール
三者以上の
契約
契約管理相手方情報
契約日管理
契約満了等アラート管理
相手方情報
契約日管理
契約満了等アラート管理
ワークフローなし 送信時に簡易なものは設定可社外・社内ともにある
但し都度設定必要(将来的にテンプレ可能)追加費用無し
電話サポート対応100/月のプランのみ利用できる無料で対応
電子契約書
リーガルアドバイス
なし有り

本人性の担保について

こちらは両サービスともに契約書に文言を記載するなどの対応がまず可能で、今後、SMSや本人確認書類を添付するなどが随時可能となっていくようです。

有効性について

以上の電子証明書は、「認印」に相当する位置づけとなります。

商業登記に関する議案のない取締役会の議事録や社内の稟議書等においては、すべての取締役についてクラウドサインやGreat Signによる電子証明書で足ります。一方、商業登記を要する議案の取締役会の議事録においても、新しく代表取締役を選定する等の一部の場面を除いて、これらの電子証明書を活用することができます。

コロナ禍の状況をふまえると、テレビ電話システムにより打合せや取締役会等を行い、その流れで電子契約書や議事録に電子署名ということも十分考えられます。

今後、ますます電子契約書が主流になっていくものと思われます。この機会に電子証明書の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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司法書士 本橋 寛樹

司法書士法人F&Partners所属。司法書士、東京司法書士会登録、登録番号:第7888号

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。