会社設立時における「脱ハンコ」と電子証明書について

従来、会社設立時には法人の印鑑を法務局に提出しなければならなかったところ、2021年2月に改正法令の施行があり、今後は、印鑑の代わりに電子証明書を提出することができるようになりました。いわゆる「脱ハンコ」というものです。

商業登記の場面で使用できる電子証明書にはいくつか種類があり、会社によって利用しやすいものを選択することができます。そのなかでも、以下の2つの電子証明書の利用を推奨します。これらは商業登記の場面に限らず利用することができ、また併用もできます。

商業登記電子証明書

 法務省発行の電子証明書です。タイトルのとおり商業登記はもちろんのこと、行政手続のオンライン申請として税務申告手続における「e-Tax」や社会保険関係手続における「e-Gov」等にも活用利用することできます。2021年4月1日から手数料が大幅に値下げとなり、より利用しやすいものとなりました。有効期限は最長27か月で、更新も可能です。

公的個人認証サービス電子証明書(マイナンバーカード)

会社代表者のマイナンバーカードに内蔵される電子証明書です。マイナンバーカードは、本人確認の資料だけではなく、コンビニエンスストアでも印鑑登録証明書や住民票の取得が可能となったり、健康保険証の代替として利用できるようになったりと、利用拡大が進んでいます。電子証明書として利用する場合は「無料」であり、コスト面からも有益といえます。有効期限は、マイナンバーカード本体については10年ですが、内蔵される電子証明書については5年であり、異なる点に注意が必要です。

電子証明書をうまく活用すれば、ペーパーレスで場所を問わずやり取りが可能になったり、契約書では収入印紙が不要になったりする等、メリットが多いといえます。

これまでどおり会社の印鑑を法務局に届出することも差し支えありませんが、「脱ハンコ」の流れを受けて、電子手続のはじめの一歩として、設立の商業登記から、ぜひ電子証明書を導入してみてはいかがでしょうか。

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司法書士 本橋 寛樹

司法書士法人F&Partners所属。司法書士、東京司法書士会登録、登録番号:第7888号

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。