誰でも分かる相続手続き~遺産分割までの5つのステップ

「誰でも分かる相続手続き」をシリーズでお届けします。第一弾は「相続財産をどのように分けるのか」を話し合う、遺産分割協議についての流れを書いていきたいと思います。

人がお亡くなりになると、相続が開始することになります。相続人が複数いる場合、相続開始後の相続財産は一旦相続人全員で持っている「共有」状態となります(民法898条)。この、共有になっている状態を解消するのが遺産分割です。

STEP1:まず遺言書の有無を確認

相続が発生したらまず遺言書の有無を確認することから始まります。遺言書に分割方法の指定があれば遺言書に従い、遺言による指定がない場合は、相続人間の話し合いである協議分割へ進みます。
 また、どうしても相続人同士の話し合いでは解決が難しい場合は、家庭裁判所による調停で解決を目指すことになります。この場合、弁護士を代理人にすることもあります。調停での合意とならない場合は、家庭裁判所での審判となります。

●遺言書の分割方法に従う(指定分割、民法908条)
●相続人間で話し合いをする(協議分割、民法907条Ⅰ)
●家庭裁判所で調停、審判(審判分割、民法907条ⅡⅢ)

 

一般的に遺産分割というと、話し合いによる協議分割が最も多いと思います。その理由は、年間の死亡者数約138万人(出所:2020年厚生労働省「人口動態調査」)に対し、遺言書の検認件数が1万8,625件(出所:令和元年度司法統計「家事審判・調停事件の事件別新受件数」)、遺産分割事件数1万2,779件(司法統計年報 令和元年)ということからも推測できます。

遺産分割協議をするために必要なことは、①相続人の範囲の確定と②相続財産調査。「誰が財産をもらえる権利があるか」を調べ、相続できる人が分かったら、次は「どれだけ分ける財産があるのか」ということを調べていきます。そして最後に「どのように分けるか」の話し合いをしていくことになります。

STEP2:相続人を確定し「相続情報一覧図」を作成する

遺産分割協議の成立要件は、「共同相続人全員の参加」と「共同相続人全員の合意」(民法907条)となっています。もし相続人を一人でも見落として遺産分割協議を進行させてしまったら、その協議は無効になってしまいますので、慎重に相続人を確定する必要があります。相続人の確定方法については「相続人の範囲と順番について」を参照ください。

法定相続人が誰かを確定するためには、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本などさまざまな書類が必要となります。相続人が確定したら、「法定相続情報一覧図」を法務局に交付してもらうといいでしょう。「法定相続情報一覧図」とは、戸籍に基づいて、被相続人の法定相続人が誰になるのかを法務局の登記官が認証したものです。この書類を交付してもらえば、以後の手続きに戸籍謄本の束を提出する必要がなくなり、大変便利になっています。

STEP3:相続財産を調査し「財産目録」を作成する

民法で相続財産となるものは、不動産(土地・建物)、現金・預貯金、有価証券、債権、その他ゴルフ会員権、家財、骨董品、宝石、貴金属などとなっています。相続財産であれば、ゴルフ会社や貴金属専門店にも問い合わせをし、評価額を確認します。相続財産によって評価の方法は異なりますので、それぞれの評価方法を元に財産を把握していきます。

「財産目録」の作成は義務ではありませんが、他の相続人との話し合いには一覧にまとめたものが有った方がよいため、財産目録を作成される方が多いです。また、プラスの財産とマイナスの財産を一覧にするため、全体の財産がいくらあるかが一目で分かり、単純承認・限定承認相続放棄など、相続するかしないかの判断材料になるほか、相続税がかかるかどうかも把握できます。

生命保険や死亡退職金は民法上相続財産ではないので遺産分割協議の対象にはなりませんが、税務上はみなし相続財産としなければならない場合もあります。

STEP4:相続人同士で話し合い(遺産分割協議)をする

遺産分割協議をするために必要な「①相続人の範囲の確定」と「②相続財産調査」が完了したら、最後に「どのように分けるか」の話し合いをしていくことになります。「遺産の分割について」の方法はこちらを参照ください。

STEP5:「遺産分割協議書」を作成する

話し合いがまとまったら「遺産分割協議書」を作成します。「遺産分割協議書」とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。法定相続人全員の合意を明確にし、以後の争いを未然に防ぐことにもなります。また、この後に続く以下のような相続手続きで提出を求められますので、手続きを簡素化する書類として作成することを強くオススメします。

  • 相続税申告(税務署)
  • 不動産の名義変更(法務局)
  • 預金の名義変更・解約(金融機関)
  • 株式の名義変更・解約(証券会社)
  • 自動車の名義変更(運輸支局)

相続に関する手続きは、一生のうちに何度も経験するものではありません。手続き自体が難しく複雑な上に、専門的な法律の知識を必要とされることもあります。相続手続きの中で間違った判断をしてしまうことで、親族間のあつれきを生んだり、これまでの関係が変わってしまうこともあります。また、手続きの多さに戸惑い、葬儀後の悲しみの中できちんとした判断ができないまま手続きを進めてしまうということもあります。

「みんなの相続窓口」では、こうした不安を抱えるご遺族様をサポートいたします。まず専門家が自宅にご訪問し(土日祝対応、相談無料)、相続に関するご説明を行うとともに、ご親族様独自のお困りごとをお聞きいたします。それぞれのお客様に見合ったサービスをお届けし、最後まで伴走いたします。相続手続きにお困りの方、まずはお問合せください。

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※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。