【相続工学研究会コラムPART2】相続手続きの誤解
2023年3月13日、みんなの相続窓口全国協議会の主宰により、相続工学研究会の第2回カンファレンスが京都で開催されました。
前回から4回にわたり、カンファレンス内で議論された内容をコラム形式でお届けしています。
2回目となった今回は、「相続手続きの誤解」と題し、相続の手続きについて議論を行います。
まだ1回目をご覧になっていない方はこちらよりご覧ください。
【ファシリテーター】
株式会社ルリアン専務取締役 小西 弘樹
【パネリスト】
株式会社ルリアン代表取締役社長 みんなの相続窓口全国協議会会長 藤巻 米隆
F&Partnersグループ代表 仁井 勝之
筑波大学システム情報系教授 大澤 義明
同志社大学商学部商学研究科教授 内藤 徹
続いて二つ目のテーマ相続手続きの誤解に関してお話したいと思います。インターネットモニター調査の結果についての説明ですけれども、青が親の死による遺産相続の経験者で赤は未経験者です。それぞれ集計して、「回答の割合」の所で見ていただければ分かるんですが経験者がすべての項目で未経験者を上回っています。未経験者はやっぱり知らないことがあるんだろうなと思います。右側の緑のところは、その赤と青の差をグラフにしたものです。数字が多いほど経験者と未経験者の間で意識が乖離してるということになります。内藤先生、初見でどのようなご感想をお持ちですか?
私もまさに経験したことなのですが、親族が亡くなり、相続ということに直面した時に、やっぱり兄弟間での相続の手続きというのが面倒なわけです。私は鑑定士さんに「だいたい総額はこれくらいになりますよ。家はこれぐらいですよ。」という情報はもらいましたが、現金でもらいたいわけですよね。でも現金で割ると均等にならないということで、ちょっと難航するということがありました。やっぱり不動産というのは自分の手元に入る、現金化するということにすごく時間がかかりとても大変です。相続を実際に直面した人は、そのことを経験しているので、こういった回答が出てくるんだと思います。
続いて大澤先生いかがでしょうか。
データから読み取れることは2つあって、まず1つはやっぱり経験っていうのは非常に大事かなと思います。ただ、相続ってそんなに何度もすることじゃないので、多分その効果が発揮できるっていうのは本当に少ないのかなと思いました。
2つ目はやはりDX、デジタル化だと思います。日本は、行政のデジタル化が遅れてるというところで、風穴を開けなくちゃいけない。県またぎだとか、行政機関またぎだとか、そういう手続きがたくさんあるというところ、そこをぶち抜くのは、デジタルだとかマイナンバーしかないのかなと思います。
藤巻会長はいかがでしょうか。
相続というのは、二度経験するということはあまりないので、初めての方が多い。ということは、戸籍を集めないといけないとか、遺産分割協議書を作らないといけないということを知らない方が多いということですね。だからそこはしっかりと、我々含め士業の方たちが情報を提供しないといけないし、もっと事前に情報発信をすることが必要だと思います。
そこに付随するんですが遺産分割協議書の作成期間、専門知識の必要性、手続きの工数に関しても調査を行いました。長さについては許容しているのだなというのが意外に感じました。専門知識の必要性は6割を超えており、手続きの工数となるともう8割近くのデータが出ています。ますます専門家の必要性があるなと感じました。
期間に関しては、初めての方も多いのでなかなか比べるものがないと思います。そういう意味では、半々で妥当なのかなと思います。工数に関しても日本の場合はなかなか大変だと思います。各金融機関において手続きの仕方も違いますし、戸籍を集めるのも大変ですし、複雑だなというのを感じておられるのかなと思います。その中で突然相続というのはやってきますから、そこで知識を入れるというのも時間がなかったりしますので、非常にストレスがかかるのかなと考えられます。特に相続の場合は、身内の方が亡くなられたというのがケースとしてほとんどです。そういう中で、気持ちの整理もしていかないといけないですよね。感情的な心の整理ですね。そういうのをやらないといけないのに、こういう手続きで複雑になってくる。ややもすると、そこで相続人同士の感情のこじれが起こったりということが考えられるかなと思うので、そういうストレスをいかに省いていくかというのが大事かなと感じます。
内藤先生、体験されたことと踏まえて、この結果についていかがですか。
まさに工程が大変でした。たまたま家族は兄弟が2人だったのでよかったですが、体感としては大変だなっていうのが実感ではあります。
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