会社設立時の事業目的の定め方について

会社の事業目的は、定款の記載事項でかつ登記事項でもあります。これは、取引の相手方や許認可を受理する官公庁等の第三者が事業目的を見て、取引上や許認可上問題がないかを確認することにより、取引の安全を計ることを目的としているからです。

株式会社の事業目的を定める際には以下の事項に注意する必要があります。

明確性

誰が見ても事業内容が明確であるということは、冒頭の取引の安全という趣旨から重要な事項になります。単に「サービス業」や「商業」といった文言でも登記上許容されているものの、どのような事業を行っているか不明確ですので、避けた方が望ましいといえます。

具体性

事業目的の明確性と併せて会社の事業内容をより具体的に表記することで、取引の相手方の信用を高めることができます。また、許認可を受ける際の審査にも関わってくる事項になりますので、具体性のある事業目的を定める必要があります。

営利性

もともと会社は営利を目的として設立しますので、営利性のない事業目的は認められません。

適法性

法律に違反したものや公序良俗に反する事業目的は定めることができません。例えば、「麻薬の売買」や「愛人の斡旋」等があたります。また、他の法律によって独占業務として規定されているもの、例えば「司法書士業」や「税理士業」等も同様に不可となります。
上記のポイントをおさえて事業目的を定めることになりますが、設立後に事業目的を変更するには、株主総会の決議や登記手続が必要になります。設立後幸先のよいスタートをきれるよう、慎重に事業目的を決定する必要があるといえます。

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司法書士 中道 康純

司法書士法人F&Partners所属。司法書士、大阪司法書士会登録、登録番号:第4793号

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。