老後2000万円問題を考える~2020年版
2019年6月3日の金融審議会市場ワーキンググループの報告書に端を発した「老後2000万円問題」。
データの根拠が2017年の「高齢夫婦無職世帯の家計収入データ」だったため、今のデータだとどうなるのだろう?と改めて試算してみました。まずは2017年のデータを掲載します。
高齢夫婦無職世帯の家計収支(2017年)
総務省家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)より引用しました。
上:入ってくるお金が20万9198円、
下:出て行くお金が23万5477円。
不足分が5万4519円となっています。
「60歳の人の4人に1人は95歳まで生きる」という数字もあります( https://le-lien.co.jp/column/shukatsu/money/570/ )ので、例えば30年分の生活費が必要だと考えると以下の計算になります。
5万円を30年…1年60万円×30年=1800万円
月々足りない5万円を埋めるためには「1800万円を65歳の時点で保有していないと95歳まで生きたら厳しいかも知れません」いうのが老後2000万円問題の概要でした。
レポートには、20年で約1300万円、30年で約2000万円と書かれてあります。
夫婦高齢者無職世帯の家計収支(2020年)
では、最新の2020年のデータで同じ計算をしてみるといくらになるのでしょう。総務省家計調査報告(家計収支編)令和2年(2020年)を見てみました。
上:入ってくるお金が25万6,660円、
下:出て行くお金が22万4,390円。
不足分が黒字1,111円となっています。あれ。足りてる…?
2020年のデータはコロナ禍での数値であり、また極端なデータになるかも知れませんが、要するに「老後にどのような生活を送りたいか?」で必要額は大きく変わるのだと改めて思った次第です。
統計データの違いにも注意
そしてもう一つ。2017年と2020年のデータでは、微妙にモデルケースが違うことにも気づきました。あれ?2017年のモデルケースは「高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)」。そして2020年のモデルケースは「夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)」となっています。65歳以上の夫婦に絞ると両方とも年金をもらっているケースが増えますので、当然収入が増えることになるはずです。数字をよく見ると、その差額は28,096円になっていました。
2017年 社会保障給付191,880円
2020年 社会保障給付219,976円
データの見方を変えれば、老後2000万円問題は想定される世帯によって、決してなくなった訳ではないと言えます。
お金と上手に付き合い、楽しいセカンドライフをおくるためにも、ライフプランを見直し、長期のマネープランを考えてみましょう。
老後2000万円問題を考えるコラム(2019年)
老後2000万円問題を考える(2)~5人に1人が認知症の時代に!?
老後2000万円問題を考える(4)~高齢者の就労継続は今後も続く
老後2000万円問題を考える(5)~老後の不安第1位は「お金」
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