失踪宣告(しっそうせんこく)
失踪宣告とは、行方不明者を死亡したものとして法律関係を安定させる制度です。
例えば、遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますが、相続人のなかに行方不明者がいる場合、相続手続きがなかなか進みません。このような場合に失踪宣告を用いて不在者(従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者)を除いた相続人間で遺産分割を進めることができます。
失踪宣告には2種類あります。
普通失踪:不在者の生死が7年間明らかでないとき
特別失踪:危難に遭遇した者の生死が危難の去った後1年間明らかでないとき
失踪宣告の手順として、まず家庭裁判所に申立てを行うと、調査官による調査などが行われます。その後、失踪者が正存じていないかを確認するため、官報や裁判所の掲示板で催告します。催告の期間は、普通失踪であれば3カ月以上、特別失踪であれば1カ月以上の期間で行われ、催告の期間を経過しても届出がない場合、失踪宣告の審判が確定します。
失踪宣告は申立てから失踪宣告まで6カ年ほどの時間がかかるため、相続税の申告が必要な場合は一度不在者財産管理人を選任して申告期限までに相続税を申告し、失踪が宣告された後で改めて申告するなど注意が必要です。
失踪宣告申立の手続き
申 立 人:利害関係人(他の相続人等)、検察官
場 所:不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所
費 用:収入印紙800円、郵便切手代、官報公告料
必要書類:申立書、不在者の戸籍謄本、不在者の戸籍附票、失踪を証する資料、申立人の利害関係を証する資料(親族関係であれば戸籍謄本)等
※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。