老後2000万円問題を考える(5)~老後の不安第1位は「お金」
2019年6月3日の金融審議会市場ワーキンググループの報告書から老後2000万円問題を読み解く連載5回目です。
心豊かな老後を楽しむために大切な健康とお金
日本人は長生きするようになりました。現在の高齢者は昔に比べて格段に元気で、社会で活躍し続けています。これは素晴らしいことであり、社会全体にとっても望ましいことです。
しかし、寿命が延び活動し続けるということは、それだけお金がかかるということを意味します。余暇活動を楽しむなど心豊かな老後を楽しむためには、健康と同様にお金も大切になります。長寿化に応じて資産寿命を延ばすことがより重要になってきました。
50代以下の世代では、老後に対する不安要因として「お金」が挙げられています。老後の不安として「お金」が主要要因となっていることが伺えます。
シニア世代の金融資産保有状況は?
(出典)総務省「全国消費実態調査」より、金融庁作成
上のグラフは、シニア世代の金融資産保有状況です。高齢になるほどローンなどがなくなりますので、保有する金融資産は多くなっていることが分かります。
一方、海外のシニア層と比較すると、米国では 75 歳以上の高齢世帯の金融資産はここ20年で3倍に伸びている一方、日本の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで推移しているという実態もあります。
米国では、市況が好調だったことに加え、401(k)等の制度的な後押しもあり、現役期からの資産形成が資産を増やす要因となったと分析されています。
日本でも、つみたてNISAやiDeCo等が整備され、長期の資産形成に関する制度的な環境が整いつつありますので、これからに期待したいところです。
金融環境に対する意識
老後2000万円問題で見てきたように、老後資金の不足が予想される中で、どのように年金以外に資産作って行くか?と言うアンケートもレポートには掲載されています。アンケートでは「預貯金」という回答が圧倒的でした。日本人の預金信仰は今でも根強いのかも知れません。
「お金に対してリスクを取りたくない」という考え方が今でも強いのでしょう。idecoや確定拠出年金で運用していきたいと思ってる人は20%以下となっています。
本当に預貯金って安全なのでしょうか。
今、預貯金の金利はいくらなのか?物価とお金の価値の関係など、今一度考える必要があると思います。
資産寿命を伸ばすために必要だと思うこと
レポートには、日本FP協会「くらしとお金に関する調査」からの引用で「資産寿命を伸ばすために必要だと思うこと」というアンケート結果も載ってます。
これを見ると、資産寿命を伸ばすために必要だと思うこととして、「働く期間を延ばす」とか「節約する」とかいう回答が多くなっています。
お金持ちになる基本としては、単純に「出て行くお金を減らし」「入ってくるお金を増やす」ですので、当たり前のことでもあるのですが、それだけでは現状を大きく変えることはできません。
やはり、「資産形成に若いうちから取り組む」「手持ちの資産の運用」「金融資産の知識を身につけたい」この辺の意識がカギなのではないかと思われます。 お金と上手に付き合い、楽しいセカンドライフをおくるためにも、ライフプランを見直し、長期のマネープランを考えてみましょう。
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