遺言の効力について
遺言は民法その他の法律で定められた事項についてのみ有効です。
それ以外の事(たとえば「兄弟仲良く」や「母さんの面倒を見てくれ」など)を書いても法律的には何の効力を持ちません。
法的に有効な事例
①遺贈や寄付行為など相続財産の処分
②推定相続人の廃除、または廃除の取消し
③相続分の指定、または指定の委託
④遺産分割方法の指定、または指定の委託
⑤特別受益の持戻し免除
⑥遺産分割の禁止
⑦遺贈の減殺方法の指定
⑧相続人相互の担保責任の指定
⑨遺言執行者の指定、または指定の委託
⑩遺言執行者の職務内容の指定
⑪認知
⑫未成年後見人、未成年後見監督人の指定
⑬祭祀承継者の指定
⑭生命保険金の受取人の指定・変更
ただし、法的に効力がないことでも家族へ心境を伝えるという意味では何らかのメッセージを残しておくのも良いでしょう。
遺言の種類
遺言には「普通方式」によるものと「特別方式」によるもののがあります。
「特別方式」の遺言とは、疾病などによって生命の危険にさらされた時や船舶の遭難時など特殊な状況にて作成されるものです。
一方、一般的な生活状態における遺言の方式を「普通方式」と言います。
通常「遺言書を作る」という場合はこの方式に従って作成することになりますので以下にその種類をご紹介致します。
(1)自筆証書遺言
遺言書の作成者本人が自筆で作成する遺言です。
ただし、書き方に不備があれば無効になり、自分で保管するため紛失や改ざんされるなどの危険性があります。
また、相続開始後に家庭裁判所において「検認」の手続を行う必要があります。
(2)公正証書遺言
公証人によって作成される遺言です。最も法的に信頼性の高い遺言作成方式です。
遺言の存在と内容が明確になり、原本を公証役場で保管してくれるので紛失や改ざんなどの危険性はありません。
また、「検認」の手続は不要となります。
(3)秘密証書遺言
遺言書の作成者本人が作成しますが、公証人も関与します。
特徴は内容を本人だけの「秘密」にできること、遺言書の存在が明確になることです。
署名・押印があれば文面はワープロや代筆でも良いのですが、書き方に不備があれば無効になり、自分で保管するため紛失の恐れがあります。
また、相続開始後に家庭裁判所において「検認」の手続を行う必要があります。
行政書士 大澗 純一
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