遺言書とは?
遺言書は、生前に死後のことについて言い残すことができるものです。遺言書のある相続手続きは珍しいものではありません。ここでは遺言書についてご説明します。
遺言書とは
遺言書とは、自分の意思を遺族へ伝えることのできるものです。遺言書を作成できる人には以下の条件があり、15歳未満の人や、認知症などで意思能力に不安のある場合には遺言を残すことはできません。
- 15歳以上であること
- 遺言をする時にその能力がある者
生前に遺言書を作成していたとしても見つからなければ遺言書に従うことはできませんので、遺言書の有無やその保管場所については、生前のうちに確認しておくことが望ましいでしょう。
また、遺産分割協議の終了後に遺言書が見つかった場合、相続人、受遺者、遺言執行者の中に一人でも「遺言通りにする」という意思の方がいれば、協議をやり直すことになります。
なお、①相続人、②遺言書で遺贈先になっている受遺者、③遺言の内容を実行する遺言執行者の全員が合意した場合、遺言書を無効とすることが可能です。
遺言書の種類
- 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が自筆で作成する遺言です。遺言の全文(※1)と作成日を遺言者本人が記入・署名捺印を行う必要があり、訂正方法にも決まりがあります。それらの要件を満たせずに無効となってしまうケースもあります。なお、令和2年7月から「自筆証書遺言保管制度」がスタートし、遺言書の外形的なチェックを受けたうえで法務局に保管することが可能になりました。「見つけてもらえないかもしれない」「誰かに見つかって改ざん・隠ぺいされるかもしれない」というリスクを回避することが可能です。
(※1)財産目録についてはワープロ打ちでも可能ですが、全ページに署名捺印が必要です。
- 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が作成・保管を行う、公正証書による遺言です。遺言者と公証人、証人2名の立会いのもと遺言者が話したことを公証人が記録し、①遺言者、②公証人、③証人2名の全員の署名捺印を行い作成します。
専門家である公証人が介入するため、形式不備や遺言者の意思能力、偽造や紛失の心配はありません。ただし、公正証書であるため、作成には費用がかかります。
- 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書の内容を誰にも見せないままで、公証人と2名以上の証人に「遺言書の存在」を認めてもらうという形式です。署名以外は自書である必要がなく、パソコンや第三者の筆記での作成が可能です。秘密証書遺言の作成は、作成した遺言書を封筒に入れ、遺言書の署名捺印と同じ印章で封印したものを、公証人と2名以上の証人に確認してもらうという流れになります。「遺言書の存在」が認められるため「探してもらえない」というリスクを回避しながら「自分の死後まで誰にも見せたくない」という遺言書を作成することが可能です。しかし、保管は遺言者自身で行わなければならないため、遺言書があることは分かっていても見つけられない可能性がありますし、逆に、見つかってしまって改ざんされてしまうというリスクがあります。
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