「雇用調整助成金」について
雇用調整助成金は、景気の変動等事業活動を縮小する事業主が従業員を休業させる際に支払う休業手当などの一部を助成する制度です。
以前からある助成金で、コロナ前の直近ではリーマンショック時に利用されていました。
この助成金の目的は従業員の雇用維持であり、失業率の上昇を抑えることで、一定の効果は現れていると思います。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、助成率や上限額を引き上げた特例措置が設けられています。
特例措置は、今年の4月末までは原則、一人一日当たりの上限額が15,000円、助成率が中小企業は最大10割、大企業は最大7.5割でしたが、5月以降は縮減されており、現在は、一人一日当たりの上限額は13,500円、助成率は中小企業が最大9割、大企業が最大7.5割となっています。8月についても、沖縄が緊急事態宣言下にあることや、大都市などでまん延防止等重点措置が適用されていることを踏まえ、5月以降と同様の水準を維持することとなりました。
また、雇用調整助成金の特例措置では、「売上高が最近3か月の月平均で前年または前々年の同じ時期と比べて30%以上減少している事業主(業況特例)」等、特例が設けられており、こちらも8月については継続される予定です。上記に該当する事業主は、4月までの水準がこれまで通り維持されます。
現在、雇用調整助成金の支給手続きのお手伝いをしていますが、景気回復はまだまだ遠く、特に飲食業などの接客業は先が見えない状況です。
よく聞かれるのが、「この助成金はいつまで続くのか」という質問です。「今のところは…」としか回答できず、事業主の不安をダイレクトに目の当たりにするのはつらいものです。
ワクチンが広く国民に行き渡れば、新たな局面を迎えると思いますので、早期の対応に期待しています。
7月2日現在の雇用調整助成金の申請件数は約397万件、支給決定額は3兆9千億弱です。なかなか重い数字です。
社会保険労務士 野口 勝哉
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