不動産登記簿には何が書かれている?

不動産の全部事項証明書について

不動産の全部事項証明書(世間一般では「登記簿謄本」と言われています。)は、大きく次の2つに分かれています。

  1. 表題部
  2. 権利部

それぞれどのような内容が記録されているのでしょうか。

表題部について

土地、建物の物理的状況が記録されています。

  1. 土地であれば…所在、地番、地目、地積
  2. 建物であれば…所在、家屋番号、種類、構造、床面積

土地について分筆・合筆、地目変更、地積更正等の登記や、建物について増築や一部取壊し等の登記がされると、表題部にその旨の記録がされます。
なお、表題部の登記は所有者に申請義務があり、登記しないまま放置していると10万円以下の過料が科されます。(不動産登記法164条)

権利部について

所有権や抵当権等、不動産の権利関係に関する部分です。下記の2つに分かれています。

  1. 甲区(所有権に関する事項)
  2. 乙区(所有権以外の権利に関する事項)

甲区について

不動産の所有者が記録される部分です。
また、税金の滞納や抵当権等の担保権が実行された場合の「差押」の登記も甲区に記録されます。

乙区について

所有権以外の権利に関する事項が記録される部分です。
代表的なものは抵当権、根抵当権、賃借権、地上権、地役権等です。
抵当権を例にすると、誰が(債務者)、どの金融機関等(抵当権者)から、借入れをしているのか、債権額・金利が記録されます。

ご自身で全部事項証明書を取得する方法には以下の2つがあります。

  1. 全国各地(最寄り)の法務局の窓口で取得する
  2. 全国各地の法務局へ郵送で交付請求し、取得する

自らの権利に関する登記をしなければ、他に権利を主張する人が現れた時に法的な対抗力をもって自分の権利を主張することができません。
不動産売買を例にすると、実務上では高額な不動産を購入された方は売買代金支払後に速やかに登記を申請することにより自らの権利(所有権)を守っています。
このように登記は自らの権利を守るためにも重要となりますので、ご自身で登記をすることが難しいと判断された場合は、お近くの実績ある司法書士にご依頼されることをお勧めします。

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為則暢久

司法書士法人F&Partners所属。司法書士

※記事は執筆時点の法令等に基づくため、法令の改正等があった場合、最新情報を反映していない場合がございます。法的手続等を行う際は、各専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。