実は奥が深いスポーツドリンク
前回は熱中症対策についてお話ししました。
「熱中症対策」と聞いてすぐに思いつくのは水分補給かと思います。
そこで今回は、より効果的に水分補給を行うための飲料の選び方、タイミングについてご紹介します。
そもそも水だけではだめなのか?
1時間以内の軽い運動などそれほど汗をかかない場合は水でも問題ありません。
しかし、汗には電解質も含まれているため、大量に汗をかいた場合には水分の補給だけでは不十分です。
水分のみを大量に補給した場合、のどの渇きはおさまりますが、体液濃度が低下します。
体液濃度を元の状態に近づけるために余分な水分が排出されるので、結果的に脱水状態から完全には回復しません。
したがって、大量に汗をかいた場合は真水でなく0.1~0.2%程度の塩分を含む水分を摂取する必要があります。
市販のスポーツドリンクはほぼ、上記の塩分濃度であるため、スポーツドリンクがおすすめです。
飲むタイミングによって使い分けるスポーツドリンク
スーパーに行くとたくさんのスポーツドリンクが売られていますが、実はスポーツドリンクにも種類があるのをご存知でしょうか。
スポーツドリンクには、「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」があり、違いは浸透圧にあります。
運動前や後におすすめのアイソトニック飲料
アイソトニック飲料は、安静時の体液と同じ濃度や浸透圧で作られています。塩分は0.1~0.2%、糖質が約4~6%と体液に近い浸透圧のため、水分、糖質、塩分がバランスよく吸収されます。
しかし、発汗によって体液が薄くなっていると吸収速度が落ちるので、運動前や後に飲むのが良いとされています。
市販のアイソトニック飲料:アクエリアス・ポカリスエット・グリーンダカラなど
発汗量が多い時や軽い運動時におすすめのハイポトニック飲料
ハイポトニック飲料は、塩分や糖質の濃度が低めで、安静時の体液よりも低い浸透圧です。含まれる塩分は0.1%程度、糖質は2%程度と低めで、どちらかといえば、経口補水液に近い濃度です。
運動による発汗で体液が薄くなっている時は、水分が速く吸収されるので、運動中や運動直後の水分補給に向いています。
ただし、エネルギー補給も必要な場合は、アイソトニック飲料も取り入れた方がいいです。
市販のハイポトニック飲料:ポカリスエットイオンウォーター・アミノバイタル・ヴァームウォーター
経口補水液とは・・・
水分補給と聞いて、スポーツドリンクの他にも近頃よく見かけるのが経口補水液です。
経口補水液は、塩分濃度が0.3%程度と高めで、糖質が低めのものを指します。
多量の発汗で喉の渇きを感じ、水分損失が1%(体重が1キロ減るイメージ)となると脱水の前兆。そういった時や、大量の汗をかいて脱水状態になった時に有効です。
つまり、脱水症の治療には、水分吸収速度が非常に早い経口補水液が良いとされています。
一方、脱水症になる前の予防目的であれば、スポーツドリンクの方が良いでしょう。
状況によって、選ぶべき飲料の種類や飲むタイミングなどを工夫することでより効果的な水分補給をすることができます。
普段何気なく買いがちなスポーツドリンクですが、自分の目的に合ったものを買ってみてはいかがでしょうか。
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