【全国調査分析②】空き家や生前対策の実態について

株式会社ルリアン(京都府京都市、代表取締役社長・藤巻米隆)は、2023年2月、35歳から79歳を対象に相続に関する実態調査を行い、7,336人から回答を得ました。第1弾では調査の概要をお伝えしましたが、今回は「親の遺産を相続したことがある」と回答した中から、地域や年齢条件を設定し抽出した492名の分析結果をお届けします。

「所有者不明土地」の発生を予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」は2023年4月27日よりスタートします。制度開始を前に、相続に関する実態調査結果の中から、空き家や生前対策に関する結果をまとめました。

実施概要

調査名:相続に関する実態調査調査対象:日本全国の35~79歳までの男女
調査期間:2023年2月28日(火)~2023年3月2日(木)
調査方法:インターネット調査
有効回答数:7,336件

遺産相続4件につき1件以上の空き家発生の可能性

親の死による遺産相続を経験した492人に対し、「前回の親の死による遺産相続の際、故人が居住していた住宅が空き家になったケースはあるか」を調査したところ、「空き家になったケースがある」(27.6%)、「空き家になったケースない」(68.7%)、「わからない」(3.7%)と、相続した住宅のうち27.6%が相続後に空き家になったことがわかりました。相続案件4件につき1件以上の空き家が発生しています。

平成30年に実施された「住宅・土地統計調査」(総務省統計局)では、空き家数は848万9千戸で全国の住宅の13.6%となっていますが、今回の調査ではそれよりはるかに高い割合となりました。

また、「空き家になったケースがある」人と「空き家になったケースがない」人の現在の居住地と出身地の距離の相関をみると、「空き家になったケースはない」と答えた人の72.8%が現在も出身地の市町村に住んでいることが分かりました。なお、現在の居住地の出身地の関係については「現在も出身地に住んでいる」「出身地からの移動時間が1時間未満」「1~2時間」「2~3時間」「3~4時間」「4時間以上」から回答する方式で、移動時間に関しては「回答者が出身地に帰る際に主に利用する交通手段による」としています。

空き家になった経験を持つ人ほど空き家“予備軍”へのイメージができている?

次に直面すると思われる相続での空き家発生の可能性についても調査しました。「次の相続で空き家発生の可能性がある」41.7%、「次の相続で空き家発生の可能性がない」50.9%、「わからない」7.6%という結果になりました。

「次の相続で空き家発生の可能性がない」と回答した人の内訳をみると、前回の遺産相続で空き家が発生していなかった人が85.2%を占め、前回の遺産相続で空き家が発生した経験を持つ人ほど、次の相続でも空き家発生の可能性を想定していることが分かりました。

国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」によると、空き家の取得経緯の55%が相続によるものとされています。相続後の家をどうするのか?対策を講じないうちに相続が発生すると、「売る」「貸す」「使う」「解体する」など選択肢を実行することができず、活用に踏み切れないケースがあります。実家が空き家“予備軍”になっていないかどうかを早い段階でイメージし、相続発生後の実家の活用方法など、関係者で事前に話し合っておくことが重要と言えます。

親にしておいて欲しかった生前対策、第1位は「物の整理・不用品処分」

 「親が生前に行っていた相続対策」と子どもの目から見た「親にやっておいてほしかったと思う生前対策」についても調査しました。親が生前に行っていた相続対策」(複数回答)は、多い順に、「遺言書作成」(16.9%)、「物の整理・不用品の処分」(15.7%)、「生前贈与など相続税対策」(15.2%)という結果となりました。

「親にやっておいてほしかったと思う生前対策」は、前回の相続で空き家にならなかった回答者ほど「特にない」と回答し、空き家になった経験を持つ人ほど、なんらかの生前対策をしておいて欲しかったと考えていることが分かりました。最も多かった回答は「物の整理・不用品処分」となっており、土地や家を売却、処分、活用するためにも「物の整理・不用品処分」が望まれていることがアンケート結果から伺えます。

次回は第3弾として、母の日(5月14日)・父の日(6月18日)を前に「親の死による相続に関する調査結果」を公開する予定です。

 

【PDFデータはこちら】

【アンケート分析②】空き家や生前対策の実態について

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