【イベントレポート】日本OR学会2026年春季大会にて 第5回相続工学研究会を実施
相続のシンクタンクである株式会社ルリアン(本社:京都府京都市、代表取締役会長兼 CEO・藤巻 米隆 / 以下、当社)は、2026年3月4日~6日に麗澤大学で開催された日本オペレーションズ・リサーチ学会2026年春季大会において、相続工学オーガナイズド・セッションを実施しました。本セッションは、例年3月に京都で開催している『相続工学研究会』の第5回目にあたります。今回は京都を離れ、伝統ある学会での発表機会をいただく運びとなりました。本レポートでは当日の研究発表の概要をご紹介します。
相続工学オーガナイズド・セッション

△セッション冒頭で挨拶する当社会長・相続工学研究リーダーの藤巻
京都から全国へ、深化する共同研究
セッションの冒頭では、当社の会長であり、相続工学研究のリーダーでもある藤巻が登壇。過去4年にわたり、毎年3月に京都の地で共同研究の成果発表を継続してきた歩みを振り返りました。「 今回、伝統ある日本オペレーションズ・リサーチ学会で発表の機会をいただいたことは、非常に喜ばしく、光栄なこと」と、学会関係者への謝辞を述べました。当社が保有する相続データが、学術的な理論によって磨かれることへの期待を口にし、空き家や資産の域外流出など、相続を起因とした社会課題の解決に向けた強い意欲を語り、挨拶を締めくくりました。
■研究発表
①相続における戸籍収集手続きの工程分析
小西弘樹 (株式会社ルリアン),宇佐美朋香 (株式会社ルリアン),山西康孝 (株式会社ルリアン),藤巻米隆 (株式会社ルリアン),大澤義明 (麗澤大学)

△研究発表を行う当社社長の小西
「第3順位相続」は作業時間2倍以上
本研究では、当社プラットフォームで 2024年に取り扱われた約422件の相続案件データを詳細に分析しました。その結果、配偶者や子が相続人となる「第1順位相続」の標準的な作業時間が452分であるのに対し、兄弟姉妹が相続人となる「第3順位相続」では921分と、2 倍以上の時間を要していることがわかりました。
求められる行政の変革
現在、戸籍収集は各自治体に対して個別に行う必要があり、これが大きな社会負荷となっています。本研究では、行政 DX の推進によって「一括請求」が可能になり、実質的な請求先自治体数を 1 つに集約できれば、戸籍等収集作業の時間を大幅に短縮できると提言を行っています。発表者の小西は「家族のあり方が多様化する中、適切な行政改革が社会負荷軽減につながる」と述べました。
②大規模データからみる孤立死リスクの構造:金融資産蓄積と地理的隔離の影響
渡邉文隆 (京都大学),石原慶一 (京都大学),藤巻米隆 (株式会社ルリアン),小西弘樹 (株式会社ルリアン), 宇佐美朋香 (株式会社ルリアン)

△研究発表を行う京都大学の渡邉特定准教授
富は「孤立死」防がず、人間関係の希薄さが最大のリスク
「孤立死は貧困層の問題」というこれまでの通説を覆す結果が、京都大学との共同研究から明らかになりました。当社プラットフォームの1万3,000件を超える相続データを分析したところ、金融資産の多寡は孤立死の発生と統計的な関連がなく、むしろ配偶者の有無や家族との距離といった「人間関係の脆弱性」が主な要因であることがわかりました。
求められる「社会的処方」
発表の最後に、発表者である京都大学の渡邉特定准教授は「地域コミュニティとの絆や社会参加が大事。特に、家族と離れて暮らす比較的若い高齢層に対しては、地域とのつながりを導入する『社会的処方』が有効な対策となり得る」と述べました。 また、孤立死した人々が残した未活用の資産には大きな慈善的価値がある可能性にも触れ、今後の社会還元への期待を示しました。
③地籍調査の進捗に関する分析 ―地理空間データと民間相続データによる考察―
佐藤佳乃 (筑波大学),宇佐美朋香 (株式会社ルリアン),堤盛人 (筑波大学)

△研究発表を行う筑波大学の佐藤さん
都市部・高価値地ほど進まぬ実態:遠隔地所有が阻む地籍整備
本研究では、従来の面積ベースではなく「資産価値」を指標に地籍調査の進捗を分析しました。その結果、水戸市や日立市などの都市部で整備の遅れが顕著であることが判明。茨城県の相続案件(345 筆)の分析では、被相続人の約6割が市外・県外に居住する「遠隔地所有」であり、これが境界確認を困難にする大きな要因となっています。
「相続」を契機とした官民連携の提言
全域完了に246年を要するとの試算がある中 、行政主導の調査には限界があります。そこで本研究では、相続登記の義務化を好機と捉え、相続のタイミングで民間のミクロなデータを活用し、効率的に調査を推進するモデルを提言しました。民間の力を活かすことが、災害復興の迅速化や土地取引の円滑化といった社会資本の質的向上に直結すると考えられます。
■過去の相続工学研究会 発表内容

相続工学とは
当社が運営する相続に関するプラットフォーム事業「みんなの相続窓口」で蓄積されたデータを活用し、相続を工学的なアプローチで紐解き、空き家や財産の首都圏一極集中など、相続をきっかけとして生じる社会課題の解決を目指す独自の研究です。2021年4月に筑波大学の社会工学に関する部門との共同研究を開始し「相続工学」と銘打った相続に関するメカニズムの解析に取り組み始めました。従来、法学や行政論の中で研究されてきた相続について、工学の切り口で研究することによりユニークなテーマの論文が生まれました。2024年には麗澤大学(千葉)に相続工学研究センターを開設し、さらに研究を進めています。
株式会社ルリアン 広報・IRチーム
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