米国・国内学会で「相続工学」に基づく最新論文を発表 「孤独死」「相続負担」「空き家」の3大課題を分析
相続のシンクタンクである株式会社ルリアン(本社:京都府京都市、代表取締役会長兼 CEO・藤巻 米隆 / 以下、当社)は、当社の保有する相続手続きデータを活用した学術論文を、米国および日本国内の主要学会にて発表いたしました。
米国「ARNOVA学会」では共同研究を行う京都大学が「孤独死と資産の関係」について、国内「応用地域学会」では、当社研究員が「兄弟姉妹相続」「空き家リスク」の2編の論文を発表しました。
これらは、当社が行う産学連携プロジェクト「相続工学」の新たな研究結果です。
トピックス
・ARNOVA学会(米国):資産の有無は「孤独死」リスクに関係しないことを実証(京都大学共同研究)
・応用地域学会(国内)①:兄弟姉妹相続の場合 手続きにかかる負担が通常の1.8倍増
・応用地域学会(国内)②:相続人が県外居住の場合 実家が空き家になるリスクは7割超
1.米国「ARNOVA学会」での発表内容(京都大学共同研究)
資産の有無は「孤独死」リスクに関係しないことを実証
世界的な非営利組織学会「ARNOVA 2025」(米国インディアナ州)において、京都大学との共同研究を発表しました。生活保護受給者を除く約13,000件のデータを解析し、「経済的な豊かさが孤独死を防ぐか?」を検証しました。
論文:Untapped Philanthropic Potential: Insights from the Assets Left Behind by Solitary Decedents in Japan(未利用の慈善的潜在力:日本における孤独死者の遺産からの洞察)
著者:石原 圭一(京都大学)、渡邉 文隆(京都大学)、藤巻 米隆(ルリアン)、小西 弘樹(ルリアン)、宇佐美 朋香(ルリアン)
発表日:2025年11月22日
【明らかになった事実】 「資産額」は孤独死リスクに影響しない
研究の結果、資産の多寡は孤独死の発生率に関係がないことが実証されました。リスクを高めるのは経済的要因ではなく、「配偶者の不在」や「家族との物理的距離」といった関係性の欠如でした。この結果は、資産を持つ高齢者であっても孤立するリスクがあり、生前にNPO等への寄付やボランティア活動(社会貢献)を通じて社会との接点を持つことが、孤独死予防に有効である可能性を示唆しています。
2. 国内「応用地域学会」での発表内容
「兄弟姉妹相続の負担」「居住距離と空き家」を定量化
国内の地域科学分野における主要学会「応用地域学会」では、当社の研究員により、実務データに基づく2編の論文を発表しました。
論文①:「相続人の構成と手続きの関係に潜む社会問題」
著者:小西 弘樹(ルリアン)、宇佐美 朋香(ルリアン)、山西 康孝(麗澤大学)、藤巻 米隆(ルリアン)、大澤 義明(麗澤大学)
発表日:2025年11月29日
【明らかになった事実】兄弟姉妹相続の場合 手続きにかかる負担が通常の1.8倍増
子がいない等の理由で兄弟姉妹が相続人となる「第3順位相続」は、配偶者や子が相続する場合に比べ、行政書士が処理すべきタスク数が約1.8倍(平均29.3タスク)に達することが判明しました。また、戸籍収集にかかる期間も長期化する傾向があり、構造的な負担増が浮き彫りとなりました。

論文②:「相続を通じた家族間居住状況の変化~民間企業データによる居住距離と空き家リスクの実証分析~」
著者:宇佐美 朋香(ルリアン)、小西 弘樹(ルリアン)、山西 康孝(麗澤大学)、藤巻 米隆(ルリアン)、大澤 義明(麗澤大学)
発表日:2025年11月29日
【明らかになった事実】相続人が県外居住の場合 実家が空き家になるリスクは7割超
親の死亡後、不動産を取得した相続人が「県外」に居住している場合、実家が空き家になる見込み率は73%に達しました(同居していた場合はわずか6%)。 また、親子間の居住距離は「近くに住み替える層」と「遠距離のままの層」に二極化しており、これが空き家問題の深刻化に拍車をかけています。

産学連携による「相続工学」の推進
当社は、これら研究成果を「相続工学」として体系化し、エビデンスに基づく政策提言や実務の改善を目指してまいります。これまでの大学研究機関との「産学連携」をさらに深化させ、研究活動をより一層加速させていく方針です。
巨大な経済活動でありながらこれまで定量的な分析が不足していた「相続」の分野において、今後もデータの力を活用し、スムーズな資産承継と社会課題の解決に貢献してまいります。
株式会社ルリアン 広報・IRチーム
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