小野小町ゆかりの寺・随心院
小野小町ゆかりのお寺「随心院」
毎年桜の散りゆくこの時期に想い出す歌があります。
花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに 小野小町
うららかな4月の午後。ふと小野小町の歌を思い出し、小町が晩年を過ごした地とされる随心院に行ってみることにしました。
京都にあるお寺とは記憶していたのですが、場所まで詳しく調べたことはありませんでした。調べてみると、会社から地下鉄東西線ですぐ。駅名も「小野」駅でした。このあたりは、平安時代に小野一族が栄えた場所なのだそうです。
入口では、小野小町像が出迎えてくれます。
SNSで話題のフォトジェニックな襖絵に心洗われる
SNSで話題のフォトジェニックな襖絵は、小野小町の一生を描いたものだそうです。
うぐいすの声以外聞こえない空間で、静かに襖絵を鑑賞することができました。
絶世の美女と言われた小野小町。本堂の裏手には、千通の恋文を埋めたとされる「文塚」があります。小町が綴ったラブレターを埋めたのだと思っていたのですが、そうではなく、もらったラブレターを埋めたのだそう。一体、どれほどの美女だったのでしょうか。
「百夜通い」のエピソードに纏わる榧の実。深草少将が小町にアプローチ➡小町は「百夜訪ねて来てくれたなら考えますね」のような曖昧な返答を出したのかも知れません。それから少将は毎晩、小町の元に通い続けましたが、百夜目に大雪に見舞われ、凍死してしまいました。少将が小町の元へ通った日数は、榧の実で数えられたと伝わっています。
いつでも小町の傍にいられる納骨堂
本堂の先に納骨堂(小町堂)があったので、見学させて頂きました。
境内にあるパンフレット。遺骨はこちらで33年間預かってくださり、その後、永代供養してもらえるのだそうです。34年目以降は、永代供養塔での合祀になります。
こちらが納骨堂です。お亡くなりになった方が眠っていらっしゃいますので、あまり写真は撮れなかったのですが、扉には六歌仙(小野小町、僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、大友黒主)が描かれています。
扉の開閉のしやすさなどもあり、どの場所を選ぶかでお値段が変わってくるのですが、1霊体80万円~120万円の入会費用だそうです。ちなみに一番人気なのは小野小町のお顔あたりなのだそうですが、「朝陽が降り注ぐ場所がいい」「雲のように自由でいたいから雲の絵の近くがいい」など、みなさん希望はさまざまなのだそうです。
以前は、女性専用の納骨堂となっていましたが、「先に亡くなられた主人と一緒に納骨して欲しい」「自分より先に亡くなってしまった子どもと一緒に納骨して欲しい」など希望から、三年前ぐらいから女性専用ではなくなったとのことでした。ちょうど私が納骨堂を見ていた時にも、ご夫婦でお話を聞かれている方がいらっしゃっていました。
生前に申込をし、亡くなってから33年間納骨堂で供養してくださるので、どんなに早く申込をされても良いのだそうです。例えば50年後に亡くなられたとしても、その場所の権利は申込から持つことができます。
契約後に授戒式を執り行い、そこで戒名を下さるとお聞きしました。戒名については、趣味や希望などを聞かれて、考えてくださるとのことです。
小町が晩年を過ごしたとされる地で、風に舞う桜を見ながら、ちょうどいまごろ小町が歌を詠んだのではないかと思いました。
花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
小野小町は何を想ってこの歌を詠んだのか、毎年想像に耽ります。

終活コーディネーター・米倉 和美

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